映画・愚行録は「乱反射」「後悔と真実の色」などで知られる人気小説家、貫井徳郎さんの直木賞候補作を実写化したミステリー映画です。
最初から暗い色調の映像がすごく独特で、ジワジワと迫ってくるような不気味さと気持ち悪さがあります。
今回は映画/愚行録の三度の衝撃と気持ち悪い結末についてまとめてみました。
目次
映画・愚行録で三度の衝撃とは?
この愚行録は映像も音楽も全編通して暗く、重い雰囲気で満ちています。
その愚行録のあらすじを簡単にご紹介します。
愚行録のあらすじ
エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向一家。絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。週刊誌の記者である田中(妻夫木聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。
殺害された夫・田向浩樹(小出恵介)の会社同僚の渡辺正人(眞島秀和)。 妻・友希恵(松本若菜)の大学同期であった宮村淳子(臼田あさ美)。 その淳子の恋人であった尾形孝之(中村倫也)。そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美(市川由衣)。
ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、そして、証言者たち自らの思いもよらない姿であった。
その一方で、田中も問題を抱えている。
妹の光子(満島ひかり)が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ―。
引用元:公式サイトより
三度の衝撃について
愚行録。すごかった。
三度の衝撃が衝撃的すぎて、、、役者のみなさんの表情もすごすぎた。 pic.twitter.com/jDsYPesb7M— nana 🐈 (@b_d_t_h_s_21) February 18, 2017
この映画/愚行録の中で「三度の衝撃」があるのですがそれは一体何だったのか考察していきます。
衝撃①田中が取材をはじめた理由
『愚行録』問題作連発の妻夫木がまた新境地!善人ぶったセレブの裏の顔や無意識の悪意の積重ねが惨劇を招く。無神経な他人批判と自らの愚行に気付かない取材対象者の話を記者田中と二人で聞いているかの様。監督の演出意図は明確で若手中堅の陰影ある芝居を引出した。 #愚行録 #妻夫木聡 #映画 pic.twitter.com/uyHnv8dPx3
— もりちゃん (@eichan2014) February 7, 2017
敦子の話を淡々と聞いている田中。
田中は話を聞き終わるとその場で敦子を殴り殺します!
田向一家を殺したのは田中だったのか!?と、一瞬思いましたがもしかしたら妹のために復讐した可能性があります。
しかし田中は田向一家を殺したのは犯人を知っていた…。
田中は犯人に気づいた人がいないか探し出し、口封じするために取材を始めました。
衝撃②光子の告白
田向一家を殺したのは光子でした。
『愚行録』光子。 pic.twitter.com/W1Qrt4TlDB
— Hanao (@antama870) September 2, 2017
あんなに酷いことをされたのにそれでも友希江に憧れていたという光子。
光子は友希恵のようになりたかったけどなれなかったのです。
町で偶然友希恵を見かけ、微笑みかけて声をかけますが無視されてしまいます。
友希恵の後をつけて、幸せそうな生活ぶりをみてしまい、光子は誰もいない部屋で犯行の一部始終を語ります。
それは光子が心の中にいる兄の田中に語りかけていたと思います。
犯行直後もそんなふうに田中に語ったのかもしれません。
衝撃③田中と光子の秘密
主人公の田中と光子は重大な秘密(罪)を共有しています。
田向一家惨殺事件の犯人が光子であること。
そしてもう一つは光子の娘・千尋の父親が田中だということです!
これは映画ではハッキリと明言していませんでしたが、可能性はかなり高いと考察しています!
悲惨な子供時代を共に過ごした兄妹は、兄弟愛を超えた愛情で結ばれていたと思います。
田中は光子が育児放棄で逮捕されたことで、一年前の事件についても捜査の手が及ぶかもしれない…。
そんなことを危惧したのかもしれません。
だからこそ事件の取材だと言って関係者に話を聞きに行った。
光子が犯人だと気づいた人がいないかどうか確かめに、そしてその人物を殺すために…。
バスのシーンと気持ち悪い結末の意味
『愚行録』
なぜ私は今まで本作をスルーしていたのか…
ここ数年で観た邦画で最高の衝撃。
独特な色調のショットと劈くようなスコアで不穏の棘に徐々に侵食される。
露悪的な作為を超越しリアルが息づく群像劇の結末に唖然としながら全てが腑に落ちる奇妙な後味。こんな映画がこの世に存在するとは… pic.twitter.com/edYGubWzZh— メトロポリタン (@redsoil3) April 25, 2020
光子の娘・千尋が死んだ時、田中は何を思って立ち尽くしていたのでしょうか?
そして娘が死んだと聞いた光子は何故笑っていたのか?
これは悲しみや怒り、絶望もあったと思いますが、もしかしたら心のどこかで安堵感を抱いていたのかもしれません。
田中と光子は自分たちが犯した罪(愚行)が、この世から消えてくれたことに安心したのかもしれません。
バスのシーンの意味
ラストシーンでバスに乗った田中が妊婦に席を譲るシーンがあります。
学生時代に読んだ愚行録。昨晩読み直して映画を観に行ったんですけど素晴らしかったです。オープニングとラストの意味深なバスのシーンがたまらなくゾワゾワ!! pic.twitter.com/LiY4pbwyCv
— まるちゃん (@maruchan1011) February 18, 2017
オープニングでは足を引きずるフリをして席を譲るように強要した相手に罪悪感を植え付けた田中。
しかし結末では田中が素直に席を譲る気になったのは、心を埋め尽くしていた不安が消え去ったからかもしれません。
田中が行った最大の善行とも思えるこの行為が、最大の愚行なのかもしれません。
なんとも胸が気持ち悪い感じで終わった映画・愚行録でした。
まとめ:映画/愚行録は最初から結末まで気持ち悪い!
映画/愚行録は映像も音楽も最初から結末までものすごく重くて気持ち悪い作品の印象です。
田中の娘が実は千尋だったり、その千尋に対して光子が育児放棄してしまうのは見ていてすごく重みを感じます(汗)
映画/愚行録をまだ見ていない方はぜひチェックしてみてください。